追い越される
ずっと、背後から誰かがついてきている。
駅を出てすぐは気づかなかったけど、
ひと気のない道に曲がってからわかった。
ストーカー、ってやつかしら……
いつか見た雑誌の記事「ストーカーにOL殺される!」
という見出しを思い出してしまう。
怖くて早足になる。
まだ遠いけれど、背後の気配も動きを早める。
確信した。やっぱりストーカーだ。
追いつかれたらなにをされるかわからない。
ほとんど走るようなかたちで私は歩く。
あいかわらず気配はついてきて、
むしろその影のほうが早くて私に近づいてきている。
後ろを振り向くことはできなくて、
でも後ろになにかがいるのは確かで、私はもう走り出していた。
マンションはもうすぐそこだ。
角を曲がるとマンションの入り口が見えた。誰もいない。
せめて助けを求められたなら、と思ったけど無駄だった。
ドアの暗証番号を打たないといけないのに、焦って手元が狂う。
影が近づいてくる。指が震える。影はもうすぐそこに迫っている。
やっと番号が合い、ドアが開く。
通り抜けて安心していると、今度はドアがなかなか閉まらない。
外は暗くて見えないけど、近づいてきているのは明らかだ。
ドアが閉まり始め、それでも影は近寄ってくる。
たまらなくなって階段を駆け上る。
途中でドアの閉じる音がして、それでも私は自分の家へと急いだ。
鍵を慌てて開け、入ってすぐに鍵とチェーンをかける。
安心して、ドアを背に膝をつく。
少し落ち着いてようやく肩で息をしていることと尋常じゃない量の汗に気づく。
そのとき背後のドアの向こうに、影がいるのがわかった。
背筋が凍った。そのなにかの気配が、
さっきまで感じていた影の雰囲気と同じだったから。
そしてそれが、ストーカーじゃないことに気づいた。
はっきりどこがとはわからないけど、
ストーカーみたいな生きてる温かみがなかった。
耳をふさいで目を閉じる。
影の気配はドアに近づいてくる。耳がつぶれるほど押さえつける。
影がドアに体を当てているのがわかり、叫びそうになる。
ふっ、と影がドアを抜ける。
それは私の隣を通り過ぎて、目の前で止まった。
耳をふさいでいても、目を閉じていてもわかる。それは私を見下ろしている。
身動きをとることもできず部屋から出ることもできず、
一進一退もできないことを知って、私は自分の気が狂うことを予測した。
駅を出てすぐは気づかなかったけど、
ひと気のない道に曲がってからわかった。
ストーカー、ってやつかしら……
いつか見た雑誌の記事「ストーカーにOL殺される!」
という見出しを思い出してしまう。
怖くて早足になる。
まだ遠いけれど、背後の気配も動きを早める。
確信した。やっぱりストーカーだ。
追いつかれたらなにをされるかわからない。
ほとんど走るようなかたちで私は歩く。
あいかわらず気配はついてきて、
むしろその影のほうが早くて私に近づいてきている。
後ろを振り向くことはできなくて、
でも後ろになにかがいるのは確かで、私はもう走り出していた。
マンションはもうすぐそこだ。
角を曲がるとマンションの入り口が見えた。誰もいない。
せめて助けを求められたなら、と思ったけど無駄だった。
ドアの暗証番号を打たないといけないのに、焦って手元が狂う。
影が近づいてくる。指が震える。影はもうすぐそこに迫っている。
やっと番号が合い、ドアが開く。
通り抜けて安心していると、今度はドアがなかなか閉まらない。
外は暗くて見えないけど、近づいてきているのは明らかだ。
ドアが閉まり始め、それでも影は近寄ってくる。
たまらなくなって階段を駆け上る。
途中でドアの閉じる音がして、それでも私は自分の家へと急いだ。
鍵を慌てて開け、入ってすぐに鍵とチェーンをかける。
安心して、ドアを背に膝をつく。
少し落ち着いてようやく肩で息をしていることと尋常じゃない量の汗に気づく。
そのとき背後のドアの向こうに、影がいるのがわかった。
背筋が凍った。そのなにかの気配が、
さっきまで感じていた影の雰囲気と同じだったから。
そしてそれが、ストーカーじゃないことに気づいた。
はっきりどこがとはわからないけど、
ストーカーみたいな生きてる温かみがなかった。
耳をふさいで目を閉じる。
影の気配はドアに近づいてくる。耳がつぶれるほど押さえつける。
影がドアに体を当てているのがわかり、叫びそうになる。
ふっ、と影がドアを抜ける。
それは私の隣を通り過ぎて、目の前で止まった。
耳をふさいでいても、目を閉じていてもわかる。それは私を見下ろしている。
身動きをとることもできず部屋から出ることもできず、
一進一退もできないことを知って、私は自分の気が狂うことを予測した。
タグ : オリジナル小説
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